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芝村裕吏先生のゲームシナリオ講座

 元アルファシステムの社員であり、PSソフト『ガンパレードマーチ』やTRPG『Aの魔法陣』など手掛けたゲームデザイナー芝村裕吏さんのシナリオ講座。



コンピューターゲームのシナリオのあり方ですか。 コンピューターゲームのシステムにあわせて文字数とかががらりと変わるんで、制限多くて難しいですねえ。 映画のシナリオの組み方とかは随分勉強したきもしますが、正直、あまり役立ちませんでした。

コンピューターゲームのシナリオは、制限との戦い、といってもいいでしょう。システムまで一緒にくんで、システム側にお話を語らせるというのも、まあ、いわば、そうでもしないとパターン破りできないから、という感じですね。

普通にRPGとかのシナリオつくると、ほんとに劣化ドラクエとかになります。 逆に言えばそれくらい、 差別化が難しい世界なんですよ。それこそ利用できそうなのはなんでも利用しないと、いけません。 モブというか、街人に語らせるとかも、その一つ。映画じゃやらんですよね

そう言う意味では基礎に乗っ取った、美しい物語、なんてものを定義すると、多くのゲームシナリオは、汚いなんでもありな存在になりますね。お陰で、桝田さんも私も、器用にいろいろやれております。

逆説的には、ゆがんだ真珠(バロック)な感じで、このなんでもありな感じや、猥雑な感じでの美を表現出来れば、ゲームシナリオは楽しい仕事なんですけどね。

そも、ゾークも、ウイザードリィも、 何でもありのゆがんだ真珠の美しさを持つゲームです。多くのゲームが、この始祖と同じように、ゆがんで、そして綺麗な構造ですね。

このゆがみも、美しさも、実は同じことを理由にでています。それはゲームの制限=様式です。 様式美の行きすぎたものがバロックなんです。

その上でコンピューターゲームのシナリオの正解とは何かともうしあげれば、うまいバロック。つまり制約や構造をいかしたものであり、これ、桝田さんのシステムで物語を物語らせるのと、同じことなんですよね。

芝村裕吏 (siva_yuri) on Twitterより


 続いて小説書きの心得。



さて。次。私事で恐縮ですが、現在書いているシナリオのテキスト量の分配で悩んでおります。短編を超えてしまったり、長編の規定枚数に足りなかったり。細かい描写や、そもそもの設計図に問題があるのでしょうか?

テキスト量の分配はですねえ。最初は適当で全然いいです。 一度書き上げたあとで、推敲して、このとき調整しましょう。 推敲は全体のクオリティの半分をきめます。 これ、プロでも初心者でもおなじ。

重要なのは、勢いを殺さないことです。執筆ノート作成までは時間をかけてもいいですし、並行でもやりますが、(10冊同時とか、やるよね?) 書き始めたら、脚を止めたら負けです。 まずくてもいいので、まずは書き上げましょう。 中断してしまう仕事が多いのは、勢い殺してるせいです。

小説家は荷物満載で自転車こいでるのと同じです。下り坂は楽でいいけど、上り坂はきつく、速度が遅いときはもっときつくなります。 これを自覚してるかどうかだけでも、だいぶかわります。

で。一度かきあげたら、そこからはのんびりでいいです。もう貴方は勝者なのです。 気にくわない処を、時間が許す限り、直せばいいだけです。 世にはヘルマン ヘッセ という良いお手本もありますね。エンダーシリーズでもいいけれど

ということで。まあ、最初はね。徹夜でもなんでもいいので、乗ってると思ったら、会社やすんででも、書き続けることだよ。 書き物は風任せだ。追い風吹いてるときは、いけるまでいく。が、いい仕事のコツ。

推敲では印象とかをがらりかえられます。ここはもうデジタル編集の強みで、めちゃくちゃやれますので、好きに実験するのが今風ですね。

私は場合によって同じシーンを5,6バージョン作るときもあります。

ヘルマン・ヘッセの少年の日の思い出(教科書でおなじみ)は、その作品が出る20年前の作品であるクジャクヤママユの推敲作品なのです

例: シゲマは八艘飛びしながら月を背に煙突の上に降り立ち、腕を組んでは高笑いした。 ver2 ああ、なんということでしょう、高笑いに少年探偵がこうべをあげてみれば、、そこにはひどくおおきな月を背に立つ、シゲマがいるではありませんか
ver3 イヒヒ、イヒヒヒヒ しげまの笑い声が、月をゆがませる!! なんというしげま! なんという悪! 睥睨する悪!

でまあ、どうせデジタルデータ上の修正なんだから、やりたい放題なんだよ。 作品内編集はやすき、執筆は難しき。だ。 さっきの例のver3が気にいったら、それにあわせて全文なおせばいいわけで。構成もかえるね。たとえそれをしても、0から執筆するよりは、全然らくなんよ。

で。これが極端にうまくなるとサミュエル・ジョンソン タイプという、量産速度がめちゃくちゃ速いタイプの作家の一タイプになります。 編集こそが執筆。みたいな神速の作家ですね。

でまあ、最初はやってみるといいよ。うん。以上終わり

芝村裕吏 (siva_yuri) on Twitterより



関連リンク
第7回 シリーズ構成とはなんぞや??(前編)(madhouse.co.jp)
第6回 これで脚本はばっちりにゃ!(前編)(madhouse.co.jp)
 金春智子さんによる初心者に向けたシナリオ講座。それぞれ全3回なのでアニメ脚本の仕組みが知りたい人は要チェック。

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初めまして。私は、仮想世界の女子校に通う“エターナルセブンティーン”藤堂志摩子といいます。乃梨子の「阪神タイガースを生暖かい目で見守る志摩子さまが好きだ!」という微妙なリクエストで生まれた新しい形のバーチャルネット白薔薇さまです。どうかよろしくお願いします。
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