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7月に観に行った映画感想まとめ【2020】

「イップ・マン 完結」の感想。人種の対立。太極拳VS詠春拳。史上最強の空手VS詠春拳。原点に返った様な戦いでありながら、イップ師父の意志は、如何に弟子たちに“継承”されたか。この戦いは、イップ師父の人生の集大成を見ているようで胸が熱くなる。イップ・マンという武闘家の伝説の終わり見届けよ。米軍基地の訓練シーンで、厳しい言葉でシゴく教官の相手がハートマン軍曹なのが「フルメタル・ジャケット」のパロディめいてちょっと笑った。

「一度も撃ってません」の感想。落ち目のハードボイルド作家の裏稼業……という体の緻密な取材活動(取材相手は本物のヒットマン)が招いた不倫疑惑。石橋蓮司さんの渋さと哀愁が伝わるフィルムで、殺し屋じゃないけど殺し屋と思われがちな、ハードボイルドを気取る雰囲気が実にいい。そして、主人公市川進が行きつけのバーのマスターが新崎人生というだけで、もう面白い。これはズルい(苦笑

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」の感想。都合良くいかない人生でも、それなりに素敵な奇跡くらい起こる。ニューヨークで映画監督のポラードに取材をしたいアシュレーと地元ニューヨークで彼女とデートしたいギャツビー。この2人の思惑が、思わぬところですれ違う。どちらかといえば、アシュレーの都合に振り回されていくギャツビーだけど、時間つぶしに地元のニューヨークをブラブラして旧友や兄との再会、短編映画の手伝いで一緒だった女性、出会いが重なることで、新たな人生の一歩へ繋がっていく。一方でアシュレーは、ポラードへの取材が上手くいかず、あげく自分の新作映画が気に入らず逃亡するポラードに振り回され、売れっ子俳優のヴェガに誘われマスコミにスキャンダルをすっぱ抜かれ、ヴェガの家に“今カノ”が帰って来てしまい下着にコートで裏口から雨の中逃亡、と踏んだり蹴ったり。男女2つの視点で描かれるラブコメディだと、男性側が損な役回りで描かれることが多いのだけど、「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」ではそれが正反対。ギャツビーとアシュレーのどちらに感情移入するかによるけど、物語としてはやるせないに気持ちなるかもしれない。

「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」の感想。チャンスは待つのではなく自分から掴みにいくもの、とよく言うけど、幸せもそうなのかもしれない。掃除、洗濯、料理、買い物、毎日規則正しいルーティーンで夫との快適な生活を維持してきたマリーは、夫の不倫現場を目撃することで我慢の限界の達する。でも、そこにあるのは怒りではない。悲しさだ。愛する夫との40年とは何だったのか。そんな自分の満たされなさを埋めてくれたのが、ボリという控えめに言ってド田舎のユースワーカーをやることだった。サッカーど素人のマリーが、コーチとして子供たちの信頼を得て、町の人たちとも交流を深めていく。ここでの“第二の人生”は、今の自分を作るに至った幼い頃の辛い出来事、その後のある種の呪いと言ってことことからようやく解放され、生きる喜びに満ちているようだった。自分らしい生き方を見つけるまで長かったね。「ブリット=マリーはここにいた」この言葉と共に、マリーは、ちゃんと第二の人生を歩み出せたんだと思ったら、この映画の感動がより胸にグッとくるものになった。日頃、家事を貰うのが当たり前に思っているのなら、今日この日はパートナーに感謝の言葉を。

「悪人伝」の感想。これは、ある意味で私が本当に見たかった「アウトレイジ」かもしれない。連続殺人事件を追うチョン刑事とその犯人に襲われたヤクザの幹部ドンス。ドンスは報復を。チョンは逮捕を。目的の違う2人が同じ犯人を求めて共闘する。だが、お互い手段は選ばない。そこにヤクザ同士の抗争が微妙に絡んでくる。暴力(バイオレンス)と情報戦(インテリジェンス)で犯人を追い詰めるヒリヒリ感。韓国ノワールの面白さを余さずぶち込んだ快作だった。そして、絶対に敵に回してはいけない男を怒らせた末路は……。

「17歳のウィーン」の感想。愛と性と閉塞していく社会の狭間で少年は大人へ成長していく。母親の恋人が事故死したことで、ウィーンまで出稼ぎしなければならなくなった息子のフランツは、受け入れ先のタバコ屋店主で面倒見のいいオットー、片思いの女性アネシュカ、そして良き相談相手ジークムント・フロイト教授と出会い、人生を学んで大人の階段を上っていくが、ナチスの支配が色濃くなっていく中で、これから自分はどう生きるかの選択を迫られる。フランツの女性に初な思春期の静かなるパッションには、見ていてこそばゆさを覚えつつも、ナチス政権下で自由や大切なものが奪われていく切なさと憤りが見えてくる。好きな人、大切な人のために何ができるか。何をしたらいいのか。悩めるフランツに生きる道を指し示してくれたのがフロイド教授であり、彼との友情があったからこそ、信じる道へ進んだラストシーンに胸を打つ。
プロフィール

藤堂志摩子

Author:藤堂志摩子
初めまして。私は、仮想世界の女子校に通う“エターナルセブンティーン”藤堂志摩子といいます。乃梨子の「阪神タイガースを生暖かい目で見守る志摩子さまが好きだ!」という微妙なリクエストで生まれた新しい形のバーチャルネット白薔薇さまです。どうかよろしくお願いします。
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