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9月に観に行った映画感想まとめ【2020】

「人数の町」
なかなか気持ちの悪いディストピアSFだった。様々な理由で社会からドロップアウトした人たちを集めて、ある一定のルールと役割を果たす限り自由に生活していい謎のコミュニティー。性別と外見、あと割り振られた“番号”以外に個人を特定するものは全てを失う。その代わり、衣食住全て揃い、しかもフリーセックス。入るのも自由。実は出るのも自由。ココで生きるために与えられる役割こそが映画のタイトルである。それがあまりにも淡々と描かれている。しかも、全体的に殺風景な所がディストピア感を醸し出して気持ちが悪いのだ。そして、この町の意味を知ったとき、ネットやTVニュースなどで話題になるような、ある種の事柄が違った目で見えるようになるよ……。

「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」
基本的にTV版の総集編なのだけど、コトブキ飛行隊と仲間たちVSイサオと自由博愛連合に話の焦点を絞っている。結果、TVアニメ版以上にイサオが悪人である。編集の仕方がだけで、結構印象が変わるね。コトブキ飛行隊結成前夜の新規エピソードは、キリエとエンマの出会いを描きホントに幼なじみだったんだなと再認識したり(キリエはエンマよりチカとの絡みが多いので)、レオナとザラのバディが増し、各キャラがいい感じにTVアニメ版の補完になってる。それより、コトブキの大迫力空戦シーンを劇場スクリーンで見られるというだけで充分価値のある映画だった。家のテレビ(あるいはPCのモニター)で見るのとは違い、「荒野のコトブキ飛行隊」の空戦シーンは、本当に劇場スクリーン映え、劇場音響映えする。最近YouTubeで配信されたTVアニメ版本編を全話見たというのならばオススメできるが、一見さんには……。

「ミッドウェイ」
海は全てを覚えている。また一つ、「艦隊これくしょん 艦これ」の提督たちが見るべき映画が出来てしまった。SBDドーントレスの凄腕パイロットでパールハーバーの復讐に燃えるベスト大尉。日本の軍事作戦を先読みするべく暗号解読に勤しむするレイトン少佐。海軍力に勝る日本軍(この頃日本海軍は実際強かった)に対して起死回生の一手を打つべく、地上では情報戦が繰り広げられる。そして、AL/MI作戦を察知した米海軍の反撃が始まるのだ。日本の空母機動部隊(赤城、加賀、蒼龍、飛龍ほか)に挑む空母エンタープライズと空母ホーネットの航空隊との空戦シーンは、先日観た「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」と一味違った迫力。ドーントレスによる急降下爆撃は、まるで一刀、必殺を狙う青い目のサムライのようだった。真珠湾、珊瑚海、アリューシャン、そしてミッドウェイ。軍事考証的なデタラメ(大概の戦争もの映画は避けて通れないが)は、多少あるもののミリタリーエンタメとして十分すぎる内容だ。ただし、一航戦および二航戦が好きな提督の皆さんは、相当な覚悟を持った方が良い。あと、南雲中将が微妙に無能扱いされるところとか(苦笑)。エンドクレジットで太平洋戦争に赴いた日米全ての将兵たちへの哀悼と戦争が如何なるものかを語りつつ、最後は、この言葉で締めくくられる。「海は全てを覚えている」

「TENET」の感想。時間を逆行させる技術は、世界を革新へ導くのか、それとも破滅へ導くのか。時間逆行サスペンスアクションだけに、主人公(名前がない)が動いている順行の時間軸と逆行してる過去の時間軸が物語上複雑に交錯する。アクションや物語は、思ってたより情報量が多く、でも話の展開は立ち止まらずテンポどんどん良く進むので、理解が追いつかない部分も。一度観ただけではなく、2度、3度見れば新たな発見があるかもしれない。特に空港内での航空機爆破&格闘シーンやカーチェイスシーンは、そこにある意味や意図をある程度判った上で、もう一度観ると面白さが増すと思う。パンフレットの解説や某ニュースサイトの「TENET」解説動画を見て後から判った。あとニール。主人公の相棒のニールに注目してほしい(大事なところだから2度言った)。「TENET」は、何度か見る度に面白さが判ってくる、いわゆるスルメ映画の部類だと思っていい。

「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の感想。あれから数十年後、電波塔が建ち、言葉を伝える手段が手紙から電話に変わっても、伝えたい人、伝わった人の想いは変わらない。原作小説では明かされていたギルベルト少佐のその後を描くヴァイオレット・エヴァーガーデン最後の物語。原作とは物語の展開が大きく違う、アニメオリジナルの物語と知っていたけど、判っていても再会したあのシーンには心を揺さぶられる思いだった。尊い。本当に尊い。そうだね、ヴァイオレット……うん……そうだよね……。その間にあるヴァイオレットが受けた依頼。余命幾ばくもない少年ユリスが、家族と親友リュカに託した手紙のエピソードが、ギルベルト少佐が果たすべき事と重なるのもいい。そして、亡くなった祖母が残した50通の手紙を孫娘が発見し、託した想いを辿っていく旅路の果てに彼女は何を見るのか。ヴァイオレット・エヴァーガーデンの物語は終わっても、彼女を紡いだ物語は、これからも語り継がれていく……。

「映像研には手を出すな!」の感想。予想外にと言ったら失礼だけど、期待を裏切らなかったTVドラマ版の本気度が劇場版で結実。浅草氏の最強の世界が実写映像化される。CG化されたロボ研と浅草氏の巨大ロボ・タロースは、もうそれだけで作品を作って欲しいレベルの完成度でバリバリ動く。水崎師のロボアニメーションは実写でも(少しだけ)描かれる。名プロデューサー金森氏が抜群のマネジメント能力を発揮する。百目鬼氏の音響へのこだわりもいい。原作のイメージを損なわず(特に実写の金森氏は完成度が高い)、近年のマンガ実写化では、とても成功していると思う。
それ故に不満が点がある。金森氏に(結果的に)妥協させるシーンを入れてしまったことだ。映像研とロボ研が生徒会による部の統廃合を免れるため共同でロボットアニメを作る計画をたてる。映画では、最初この作品発表の場を同人誌即売会「コメットA」に設定していた。これは原作、アニメだともう少し先のエピソードになるので、映画オリジナルだけどスケール上げてきたな、と期待していた。そこに教師と生徒会が、映像研を呼びつけ、「部活動で金儲けをするとはけしからん」といちゃもんをつけられる。当然、原作やアニメを多少なりとも知ってるなら、金森氏が教師と生徒会を言いくるめて突っぱねるところ想像するだろう。でも、そうじゃなかった。学校外活動を部の実績と認められず、文化祭への出展へと舵を切り直せねばならなくなった。ここは本来なら金森氏がかっこよく言いくるめるシーンになるはずが、そうならずカットに。これは、本当にもったいなく残念な部分だった。
あと、アニメ版で金森氏がラーメン食べるときに長い髪をアップにまとめるフェチ度の高いシーンも実写にならなかったのも残念だった。あとあと、せっかく「ロボ対カメ」完成したアニメーションは全部見たかった。それ以外は、世にも幸せな実写映画化だった。なんだか、珍しく不満ばかり感想で書いているけど、実写版「映像研には手を出すな!」の持ってるポテンシャルの高さを見ると、もっとやれただろうと逆に期待をしてしまうのだ。
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藤堂志摩子

Author:藤堂志摩子
初めまして。私は、仮想世界の女子校に通う“エターナルセブンティーン”藤堂志摩子といいます。乃梨子の「阪神タイガースを生暖かい目で見守る志摩子さまが好きだ!」という微妙なリクエストで生まれた新しい形のバーチャルネット白薔薇さまです。どうかよろしくお願いします。
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