FC2ブログ

12月に観に行った映画感想まとめ【2020】

「燃ゆる女の肖像」の感想。
何故エロイーズは肖像画で笑顔を見せないのか。ただお見合い結婚を拒否したい気持ちの現れ?画家マリアンヌと令嬢エロイーズに秘めたる純愛とエロスの燃え上がりこそが、その答えと言える。エロイーズを騙していた故のよそよそしい関係から、一気に進展する愛と情熱の5日間のなんと密度の濃いことか。召使いのソフィーの健気さは、マリアンヌとエロイーズの関係性に対する良いクッションになっていた。ソフィーがいなかったらマリアンヌとエロイーズは、お互い想いつつもぎこちない関係のままだったかもしれない。また彼女の妊娠中絶シーンは、痛々しさと同時に新たに産まれた子供とこれから失われる子供の対比でもあった。そして、マリアンヌとエロイーズにとって最高の肖像画が出来てからの、その後に描かれたエロイーズの肖像画には、なんとももの悲しさを覚える。ラストシーンの涙に去来するものはなにか。この映画は、「君の名前で僕を呼んで」を観に行った時と同じようなエモーショナルな物を感じたし、あえて言うなら対になる。今見るべき百合映画だった。

「魔女がいっぱい」の感想。
ゼメキス流のエンタメ映画で、可愛い3匹のネズミ(元人間の少年)の大冒険に、あんなノリノリ悪役魔女を演じてるアン・ハサウェイを見たことない。一応主人公は魔法の薬でネズミにされた少年だけど、呪術を嗜むおばあちゃんのオクタヴィア・スペンサーが頼もしく、かつ癒しでもある。そして、したたかで魅力的なおばあちゃんだ。魔女が使う魔法の薬の描写は、割とエグくてちょっとホラーみを感じた。人間がネズミに変えられてしまうと寿命も概ねネズミに準じてしまうという設定は、ネズミとして人間の何倍もの早さで年を取るということであり、同時におばあちゃんとネズミの少年が魔女ハンターでいられるリミットである。自分の孫が、たった数年で自分と同じ年齢のなってしまう。本編では、サラッと受け入れていたけど、冷静に考えると中々ヘビーな設定だ。

「ワンダーウーマン1984」の感想。
世界一美しいヒーロー、ワンダーウーマン。アメコミヒーロー映画というと、最後はパワー対パワーみたいな戦いになっていくことが多いが、そんないわゆる“脳筋”な戦いでは勝てないのが今回のヴィランであるマックス。予告編通り、ホントに全人類対ワンダーウーマンという状況を作り出し、正直、コレまで見たことがない“文系”で最強なヴィランで面白い。欲望を持たない人間なんて地球上に存在しない。その全てが叶い、全ての力が一つに集まったら世界はどうなる?そして、ドリームストーンが奇しくも叶えてしまったダイアナの欲望が、逆に彼女を苦しめることになってしまうとは。「バットマン」シリーズのジョーカーとは違うベクトルで、戦うと最も厄介な敵がドリームストーンと一つとなったマックスだ。なるほど、そうくるかあ、と感心してしまった。マックスの代わりにワンダーウーマンと直接対決するのが、人間社会におけるダイアナの同僚であり、彼女に憧れていた新人研究員のバーバラ。バーバラは、ドリームストーンの力で憧れのダイアナと同様のスーパーパワーと美貌を手に入れる。そのなれ果てがチーターである。伝説の戦士アステリアの黄金の鎧を纏ったワンダーウーマンとチーターの戦いは、まさに静と動。ワンダーウーマンのための黄金の鎧は、彼女のヒーローとしての在り方を示す守り勝つ戦いのための鎧である。この時のワンダーウーマンが、どうみても射手座の黄金聖衣を纏う黄金聖闘士に見えて、(マスクの下で)ニヤニヤしてしまった。

「また、あなたとブッククラブで」の感想。
たった1冊の本で変われる人生がある。ダイアン、ビビアン、シャロン、キャロルは、現役バリバリで働き、あるいはリタイアし、一見充実した老後を過ごしてても、その実、色々悩みを抱えている。定期的なブッククラブは、そういったことを一端忘れて、日頃のストレスから解放される場所でもあった。そこで提示された「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」で、今の自分たちに何が足りないのかをで知り、彼女たちは第2の人生を歩み始める。新たな出会いを求め、今の出会いを大切にし、そこそこ上手くいっているダイアン、ビビアン、シャロンの一方で、まだ夫との私生活が上手くいかないキャロルにもどかしさを覚え、見ていてヒリヒリしてきた。基本的にコメディなので、それぞれにハッピーエンドが待ってるし、もちろんキャロルにもなのだけど、最後の、あの不器用なサプライズは、なんとも微笑ましかった。あらゆるチャレンジや危機も4人で乗り越えていく。かけがえのない友情が美しいし、ゆかいで気持ちいい。

「AWAKE」の感想。
人生の全てを将棋に賭けて挫折した男が理想とした将棋を体現したのは、プログラムとAIによるコンピューター将棋だった。本気でプロを目指した指し手だからこそ出来るもう一つの戦いに手に汗を握る。主人公清田英一の逆転人生を描く作品であるが、ライバルで若手天才棋士の浅川陸も清田がいなければ今の彼はいないと言えるほどの存在。内に秘めた闘志が見え隠れする。電王戦を前に、事前に渡されたAWAKEで苦戦する浅川。感情を顕わにする場面もあるが、アマチュアがAWAKEに勝ったあるパターンが、清田と浅川の運命を変えてしまう。実際の将棋電王戦から着想を得て描いているので、結末も同じなのであるが、ただプロに勝つというだけではなく、将棋の新たな可能性、清田なりの神の一手を求めた先に浅川がいるというドラマが面白い。

「ソング・トゥ・ソング」の感想。
個人的には、「ツリー・オブ・ライフ」中年編というか、人生の岐路、私のこれまでの人生とこれからを実に詩的な演出で描いている。人との繋がりやそれによって心の穴を埋めていく一人一人の物語が、実に丁寧に、じっくりと描かれているせいなのか、正味2時間ちょいの映画なのに体感で3時間くらいの映画を見てるような感覚だった。にもかかわらず、退屈させない不思議な没入感で、考えるより感じるテレンス・マリック映画だった。
スポンサーサイト



プロフィール

藤堂志摩子

Author:藤堂志摩子
初めまして。私は、仮想世界の女子校に通う“エターナルセブンティーン”藤堂志摩子といいます。乃梨子の「阪神タイガースを生暖かい目で見守る志摩子さまが好きだ!」という微妙なリクエストで生まれた新しい形のバーチャルネット白薔薇さまです。どうかよろしくお願いします。
メールフォームを利用したい方は、こちらをクリック。

メールフォーム

Creative Commons License
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示-非営利-継承 2.1

最近の記事
月別アーカイブ
ブログ内検索
カテゴリー
リンク
RSSフィード